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黒いスープの静岡おでんは静岡県人の誇り!

静岡のおでんには黒はんぺんが入っている! 

その衝撃の事実は今や多くの日本人が知るところとなりました。反対に、長く静岡に住んでいる人のなかには、「え、ほかのところのおでんって黒くないの?」と驚いた人もいるかもしれません。

そんなわけで、今回は静岡おでんについて深堀りしたいと思います。

「静岡県人はおでんで育つ」「おでんは静岡県人のソウルフード」というキャッチフレーズは、決して大げさではありません。静岡県清水市出身のさくらももこさんが手がけた「ちびまる子ちゃん」にも、まる子が父ひろしとおでん屋の屋台でおでんを食べている場面が出てきます。 静岡では冬だけでなく、一年中、おでんが食べられています。戦後、食料が不足していた時代に、それまで処分していた牛スジや豚モツを材料として煮込んだのが、現在の静岡おでんの原型と言われています。新鮮な海産物が水揚げされる立地も、練り製品の発達を後押したのは想像にかたくありません。

ちなみに、地元では静岡おでんではなく、「しぞーかおでん」と呼ばれています。そんな静岡(しぞーか)おでんについて、ざっくりと紹介すると、牛すじをベースとしたそれぞれのお店が独自で作った真っ黒な出汁に、串で刺した具材を入れて煮込んだもの、という見解が一般的です。おなじみの黒はんぺんやこんにゃく、ちくわや大根、卵、牛すじなどが入っています。ほかの県のおでんにはあまり入らない、なると巻や豚モツ、ほかにも、ふわ(ふわふわした食感の牛の肺)やさんかく(スケトウダラのすり身)なんて、ほかの県ではなかなか見かけない食材が入ることも。そして、最後に青海苔や魚のだし粉をかけていただくのが一般的です。

戦後、市役所前の大通り (青葉シンボルロード) には約 200 台ものおでん屋台が軒を連ねていたといいます。都市開発に伴い、屋台は姿を消しましたが、屋台街から発展した「青葉おでん街」と「青葉横丁」では、今も昭和情緒たっぷりの雰囲気のなか、静岡(しぞーか)おでんを提供しています。静岡競輪場内にある売店のおでんも人気が高く、おでんを食べるために足を運ぶ人もいるほど!
        
なお、静岡おでんの普及・PRなどを行う任意団体「静岡おでんの会」では、静岡おでん五ヶ条としてこんな定義を発表しています。

1.黒はんぺんが入っている

でました、そうです、まずはコレです。静岡ではんぺんと言えば、この黒はんぺんのこと。スケトウダラのすり身や山芋を原料とする、一般的な白いはんぺんのことは、わざわざ「白はんぺん」と呼ぶのだそうです。存在感たっぷりの黒はんぺんは静岡(しぞーか)おでんの象徴ともいうべき存在です。

サバとイワシなどの青魚を使った練り物。骨も皮も取り除かずに使うので、色が黒いんだそうです。だからカルシウムやたんぱく質など栄養分もたっぷり! 旨味も栄養分も豊富です。食感はつみれに近いでしょうか。そして、お察しのとおり、この黒はんぺんが存在することで、静岡(しぞーか)おでんならではの独特が味を生み出しています。

なお、黒はんぺんは、静岡県人にとってはとても身近な食材。おでんだけでなく、フライにして食べることもあるのですが、これがまた美味しいんです。ぜひお試しください。

2.スープが黒い

濃口醤油を使い、牛すじなどの肉で出汁をとるのが一般的ですが、店によって独自のアレンジが加えられています。老舗のおでんのスープは、何年も何年も継ぎ足しされ、使われています。

3.具が串に刺してある

黒はんぺんはもちろん、そのほかの具材もすべて串に刺さっています。駄菓子屋やパン屋、総菜屋などでは、食べ終わったあとの串で会計をしてもらうケースもあります。回転寿司店で食べ終わったあとのお皿を数える、あの感じです。

4.食べる時に、青海苔やだし粉(こ)をかける

だし粉はイワシの煮干しを削って粉にしたもの。青海苔は、静岡県が日本一の生産量を誇る名産品です。これは、清水の折戸湾で海苔の養殖が盛んだった頃、海苔を裁断した時に出る細かいカスを捨てずに静岡おでんにかけるようになったことがきっかけと言われています。

5.駄菓子屋さんにもある。

静岡(しぞーか)おでんが楽しめるのは、居酒屋だけじゃありません。子どもの頃、近所の駄菓子屋さんで、おやつにおでんを食べたという人も多いはず! 近所の人がお鍋を持っておでんを買いにくることもあるそうですよ。

インパクトのある黒い見た目とは裏腹に、食べ応えはさっぱり軽やか。静岡のお茶で割った「静岡割り」との相性も抜群! 静岡で生きる人の生活に、寄り添うように存在する「静岡(しぞーか)おでん」。今日も静岡県のいたるところで、ぐつぐつと煮込まれていることでしょう。